白と黒はともに強い存在感を放つ色です。美術やファッショをはじめとした様々な分野において重要な役割を果たすなど、私たちの日常においても欠かすことのできない色と組み合わせといえます。白は神秘、無垢、清らかなるもの、黒は夜、闇、畏怖といった言葉を想起させ、相互に対照的な意味やイメージをもつ一方で、光と影を象徴する色として、視覚的、概念的にも表裏一体として共存します。特に私たち日本人は古来、日本家屋や和室における闇や静けさに沈潜し、光が織りなす陰影の綾に閑寂の境地を見出してきました。闇の中に光を感じ、光の中に影を見る。白と黒、光と影の関係性は、日本独自の美意識を内包するとともに、人の生きる世界そのものを象徴しているようにも思えます。 
今展ではそのような色の根源ともいえる「白と黒」、そして「光と影」をテーマに、様々なジャンルの作品を一堂に展観いたします。素材や質感、表現の対比によるモノクロームの静謐な空間をご堪能ください。